2025年1月に独立行政法人情報処理推進機構(以下、IPA)が公表した『情報セキュリティ10大脅威2025』において、『内部不正による情報漏えい等』が組織におけるセキュリティ脅威として選出されています(2016年から10年連続)。残念ながら、内部者の行為により企業などが大きな損害を被る事件が依然として発生していることが反映されているのでしょう。
本コラムでは、内部不正による情報漏えいを防ぐためのヒントをご提供したいと思います。
一口に内部不正と言っても様々なものがあります。メーカーによる検査結果の数値の改ざんや転職先への機密情報の持ち出しなども一般にイメージされる例の一つでしょう。
内部不正について公表されているデータとして、IPAが公表している情報セキュリティインシデントに関わる内部不正の調査結果があります。これによれば、内部不正に関わった者を職務で分類すると、システム管理者(兼務者を含む)が半数以上を占めており、システム管理者による内部不正事件が他の職務と比較して多く発生していることが分かります(※)。
また、過去に大きく報道されたシステム管理者による内部不正事件を鑑みると、流出する個人情報が膨大であることや企業の損害が億単位になるなど、被害が甚大であることがほとんどです。こうした点から、システム管理者が行う内部不正の抑止に重点的に取り組むことは、思わぬ損害を発生させないための鍵と言えます。
※出典:IPA内部不正による情報セキュリティインシデント実態調査―調査報告書―
では、典型的なシステム管理者による内部不正事件をひも解きつつ、具体的な対策を解説いたします。
大手企業A社で、元派遣社員が大量の顧客情報を第三者に流出させる内部不正事件が発生しました。
事件のポイントは以下の通りです。
なぜ、システム管理業務で多くの内部不正が起こるのか。まず、人が不正を行う根本的なメカニズムを説明する理論を2つご紹介します。
以上は言わば人類共通のメカニズムです。システム管理業務で不正が多い背景には、これらに加えて、システム管理業務特有の不正を行いやすい理由があるはずです。理由を探るために、システム管理業務の特徴を見てみましょう。
ご覧のように不正のトライアングルで言う「機会」が多いです。この「機会」に、待遇への不満などの「動機」と『これぐらいいいだろう』などの「正当化」が加わってしまうと、不正が発生する可能性が高まります。
不正のトライアングル理論によれば、3つの要素のうち、一つでも満たさない場合不正は行われません。
仕組みで対策可能な要素は「機会」「正当化」の2つです。
システム管理業務の性質上、「機会」を完全になくすことは不可能ですが最小限にすることは可能です。「正当化」は、割れ窓理論の考えと組み合わせ「モニタリングされている/軽微な不正でもバレる」仕組みを整備することで対策することができます。
上記を踏まえたシステム管理業務の不正対策は以下となります。
これらは、未然に不正を防ぐ予防策と、不正を見逃さない、あるいは問題が大きくなる前に早期発見に努めるモニタリング等の発見策で構成されています。全ての保有システムに対して一律に最高度の対策を講じると多大なコストが生じるため、管理対象のシステム、保存されている情報の重要性などに応じて、バランスよく組み合わせることが重要です。
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